書評)実務でつかむ!ティール組織

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実務でつかむ!ティール組織 [ 吉原史郎 ]
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感想
今話題のティール組織とはなんぞや、ときになったので読んでみました。いつも通り抽象的な分厚い本が苦手なのでこの本を選択。
一言で言うと「社長や上司が管理/実務介入しなくとも、組織の目的実現に向けてメンバー進むことができる独自の仕組みや工夫にあふれている組織」のことだそうで、この本ではティール組織の一つの形態であるホラクラシー組織について、旧来のピラミッド階層型の組織がどのようにして「自主経営」型に変化していくかを事例交えて手短に説明してくれていました。
 
だいたい言ってることは納得ですし、これまで読んできた本とそれほど遠くない印象でした。
心に残ったのはこの辺。
 
マネジメント(上司)がチームに任せられない理由:
  • 自分に自信を持っていると、うまく育成できず、人に任せられない
    • 右腕候補を見つけても、自ら首を突っ込み、あなたはダメだという
  • マネジメントの考えてることとメンバーが考えていることのズレが心配
    • メンバーが重要な勘所を抑えて仕事しているか不安
    • メンバーが、自然と業務上の勘所がわかるような環境、仕組みがないことが原因
    • 目的地図と重要指標の透明化でメンバー自ら進み、管理できる仕組みを
  • マネジメントとメンバーの、会社のことを考えている度合いのズレが心配
    • メンバーにとっては経営理念は人が作ったもの
    • 想いを伝え、行動を共にし、組織のビジョンへ近づいていることを共有しないと伝わらない
 
自主経営を阻害する要因:
  • 仕事の役割の不透明性
    • 誰が何やってるのか、自分はどこまでしても良いのか
  • 役職による意見交換のしにくさ
    • 上司に聞いてもらえるか
  • 意思決定プロセスの曖昧性や不納得
    • どういうプロセスで新規投資や給料が決定されているのか
  • 重要指標が見える化されていない
    • 結果に至るまでのプロセスの指標が見えているか
    • 価値のあるプロセス上の重要指標はなんなのか
 
次世代組織へ移行する難しさ
  • 理由は変数が多いから
  • 移行前に部分的にでも実践期間を持ち定着させるとこから始める
 
また、ここでも言われていたのは組織のビジョンと個人のビジョンの結びつきの重要性でした。まずはビジョンを見せること、そしてそれがメンバーのビジョンと繋がって、メンバーが実現したいと思えること。
そうした土壌があって、個人が最大の能力を発揮できる組織作りができる、という話はサーバントリーダーシップとも通じていました。
 
ポイントサマリ
 
ティール組織
  • 「生命体」に比喩される
  • 社長や上司が管理/実務介入しなくとも、組織の目的実現に向けてメンバー進むことができる独自の仕組みや工夫にあふれている組織
  • 3つの要点
    • (進化する)存在目的
      • 競争、市場シェアよりも、存在目的という一定の方向性を示すことを重視
    • 自主経営(がかのジュとなる仕組みや工夫を有している)
      • ピラミッド構造からチーム制へ
      • 決定に前には専門家やCEOからの助言を受ける助言プロセス
    • (個人としての)全体性の発揮
      • 人間性を保つことを重視
      • 感情的な部分にも目を向ける
 
ラクラシー組織とは
  • ティール組織の一形態
  • 人/役職ではなくロールが主役
  • 個人ではなくロール、ガバナンスプロセスに権限を委譲する
    • 各ロールの目的、ミッション、権限を決めるのは上司ではなくガバナンスミーティング
  • ガバナンス(ホラクラシー憲法)があることで管理者がいなくとも機能する
 
ラクラシー組織の「自主経営」
  • 役職ではなく役割を与える
  • 役割は柔軟に修正可能で全メンバーがその意思決定に関われる
  • 役割に基づいて日々業務を行う中、良いアイデア、懸念があればそれに寄り添うことを約束事にする
  • 重要な指標を透明化
  • チャレンジしたい役割に一定時間さける
 
組織モデル
  • 生き残るためのトップダウン(北風、わたし型)
  • 軌道に乗ってきて新たな価値、組織の目的を生むためのボトムアップ(太陽、わたし達型)
  • マネジメントの引き出しとしてどちらも使える
 
ボトムアップから次世代組織
  • マネジメントの考えてることとメンバーが考えていることのズレ
    • メンバーが重要な勘所を抑えて仕事しているか不安
    • メンバーが、自然と業務上の勘所がわかるような環境、仕組みがないことが原因
  • マネジメントとメンバーの、会社のことを考えている度合いのズレ
    • メンバーにとっては経営理念は人が作ったもの
    • 想いを伝え、行動を共にし、組織のビジョンへ近づいていることを共有しないと伝わらない
 
次世代組織への距離感
  • 変数の多さ
  • まずはマネジメントの「心の奥の想いに気づき」、メンバーと対話すること
  • 目的地図と重要指標の透明化
    • 目的地図は計画段階で重要な勘所が漏れないようにある
    • 指標は進捗管理や評価のためではなく、メンバーが、確認するためのもの
  • 組織の目的とメンバーの目的の繋がり度合いの向上の仕組み作り
    • PDCAのCの前に出来なかったことだけでなく、小さくても出来たことを確認する
    • その結果感じたメンバーが大切にしたい価値観と組織の目的が緩やかに繋がっていることを感じる
    • 自分として、仕事をする際に大切にしたい価値観や考え方と、組織目的の繋がりを見つける
    • また、繋がっていることを伝える
  • これらを移行前に実践期間を持ち定着させるとこから
 
役割:リードリンク
  • 役割
    • 組織の方向性や重要指標の透明化
    • 事業の優先順位
    • 資金の事業への配分
    • ロールへのメンバーの配置
    • メンバーへのアドバイス
  • 認められないこと
    • 指示命令
  • ザッポスの事例では、社長から社内的にはリードリンクのロールへ
  • 組織目標を実現するための必要な環境を整える
 
自主経営を阻害する要因
  • 仕事の役割の不透明性
    • 誰が何やってるのか、自分はどこまでしても良いのか
  • 役職による意見交換のしにくさ
    • 上司に聞いてもらえるか
  • 意思決定プロセスの曖昧性や不納得
    • どういうプロセスで新規投資や給料が決定されているのか
  • 重要指標が見える化されていない
    • 結果に至るまでのプロセスの指標が見えているか
    • 価値のあるプロセス上の重要指標はなんなのか
 
ネットプロテクションの事例
  • 自分に自信を持っていると、うまく育成できず、人に任せられない
    • 右腕候補を見つけても、自ら首を突っ込み、あなたはダメだという
  • 組織を一枚岩にするために価値観を定め、採用もこれに従う
    • 誠実に向き合う
    • 力をあわせる
    • 本質を考える
    • 最高にこだわる
    • 自分を磨く
  • 若手の定着の組織課題に向き合うため次のビジョンの作成に取り組む
    • 若手社員も関わり時間をかける
    • 複数チームでビジョン餡を作り持ち寄る
    • できあがった7つのビジョン
      • 歪みない事業/関係性を作る
      • 全てのステークホルダーと真摯に向き合う
      • みんなで会社を作る
      • 志を尊重する
      • ワクワク感を大切にする
      • 違いこそを組織の力に変える
      • 厳しく求め、支え合う
  • 新人事制度
    • 基本給与は「能力/姿勢への対価」
    • 賞与は「成果への対価」