書評)マンガでやさしくわかる学習する組織

 
感想
冬の課題図書として。
自分の組織マネジメントで、今日より明日の方が仕事が上手くなるチーム、失敗から学んで上手くなるチーム、未来のために自己学習を続けるチーム、辺りがなんとなく大事なんだろーなー、と思い、なんとなくそこにつながってそうな「学習する組織」に前から興味があったんですが、分厚い本が苦手なのでマンガでわかるシリーズを読んでみました。
 
学習する組織とは「誰かに言われて動くのでは無く、自分で考えて動く社員のいる組織」ということでした。
 
学習するために問題やテーマを大局、全体像から根本にアプローチして本質について考え観察する手法としてのシステム思考については、
対象を、
  • 目に見えるできごと
  • そこに繰り返し現れるパターン
  • それを引き起こす構造
  • 根っこにあるメンタルモデル
のそれぞれのレベルで観察する話が具体例で解説されてて勉強になったり、
 
解釈、認知のフィルターとなるメンタルモデル、その認知の働きを「推論のはしご」として人それぞれなぜ違う捉え方をするのかの解説も勉強になったし、
 
個人のビジョンと共有ビジョンを作る話も参考になったり、
 
と、色々学びの多い本でした。
マンガはシンプルでそんな上手くいかないでしょ的なものですが、それによって理論がイメージに落ちやすくて全般わかりやすいものになってました。
 
と、やはりこの手の話はサーバントリーダーシップ7つの習慣辺りと通じるんだなぁと感じます。
チームや組織を持つリーダーにお勧めできる本でした。
 
 
ポイントサマリ
 
なぜ、人と組織は変われないのか
  • 人は変えられることに抵抗する
  • 自ら状況を理解し、その選択肢を明確にした上で、どのような行動を選択するかを決めるプロセスに関わった人たちは、変化に抵抗するのでは無く、建設的に進めようとする傾向がある
 
学習する組織とは
  • 誰かに言われて動くのでは無く、自分で考えて動く社員のいる組織
  • やる気の温度差、上から目線は組織の学習を阻害する
 
システム思考
  • 問題が単純明確な場合はそこへ対処する
    • 論理的思考
  • 問題が複雑な場合は対象の大局、全体像、根本にアプローチして本質について考える
    • システム思考
  • システムとは相互に作用し合う要素の集合体
    • 人間関係、家族、社会、市場、業界など
  • 氷山モデル
    • 繰り返し起こるパターンや大きな流れが観察される時、なんらかの構造がそれを作り出している
    • 表面: できごとのレベル
    • 1層: パターンのレベル
    • 2層: 構造のレベル
    • 3層: メンタルモデルのレベル
    • 課題への対応策を浅く安直に感じるのはできごとへの対応になっている可能性がある
  • パターンを把握するための3つの相互作用基本構成単位
    • 自己強化型ループ
    • バランス型ループ
    • 遅れ
    • これらの組み合わせとしてよくある型がシステム原型
    • 課題に向き合う際にこれらの型に当てはまってないか分析し、課題を見える化、構造化して本質的な解決策を見出す
    • システム原型の目的は視点のレベルをできごとからパターン、構造、メンタルモデルへ引き下げること
 
共創的コミュニケーション
  • 解釈、認知のフィルターとなるメンタルモデル、その認知の働きをわかりやすく解釈するための「推論のはしご」
  • メンタルモデルへの対処
    • オープンマインドで真摯に相手に問いかけ、探究の質を高める
    • 自分の主張や結論を仮説として呈示して、主張の質を高める
      • 仮説に至った背景も伝え仮説の検証も厭わない発言をする
    • 自分の思うメンタルモデルと行動に現れるメンタルモデルは違い、自分では気づきにくいため他人の意見を聞くことも必要(1on1など)
  • 個人個人がメンタルモデルを理解することが共創的コミュニケーションのベースになる
  • チーム学習のレベルアップ
    • メンタルモデルを一旦脇に置いて現実を観察、傾聴する。自分の意見は仮説として呈示し、推論のはしごに沿ってその根拠を伝える
    • 相手の立場に視座を転換する。相手の立場を知り共感するからと言って同調する必要はない
    • 自分の中で大切にしてきたビジョン、目標、信念、規範のいずれかを手放し、全体の視座に転換することでより大事なものを手に入れる、または保全する
 
自己マスタリー
  • 自己マスタリーとは、自分の仕事を自分ごとと捉えて、目指す姿を明確にして自己を磨き続けること
  • 自分自身のビジョン(何を成し遂げたいか)は自分事になってないとと覚悟を疑われる内容になる
  • ビジョンと現実のGAPを埋めるために創造的緊張が生まれる
    • 逆は感情的緊張、外部からのプレッシャーにより創造性を損ない不正に走るなど手段と目的を取り違えたりする
  • 人は自らが学びたいことこそ、自発的に、かつ効率的に学ぶ
 
共有ビジョン
  • ミッション、組織がなぜ存在するのか
  • ビジョン、組織が何を作り出すのか
  • バリュー、組織がどのような基本理念や規範を大切にするのか
  • 私のビジョンが私たちのビジョンとなるよう、個人のものが反映され、共有するもの同士が互いに誓約する
  • 共有ビジョンの普及では、プレゼンだけで無く組織の日々の意思決定や行動に織り込んでいく。また社員に選択の自由を与える
 
学習する組織の実践プロセスと戦略の構造
  • テーマとチームメンバーの設定
    • テーマは組織や企業課題から、または話し合って
    • チームの「学習する組織」に関する教育と関係性構築
  • システムの観察と多様な関係者による対話
    • システム思考、氷山モデルからの観察と対話
  • 共有ビジョンと個人ビジョンの融合
  • 実験と学習
  • システム的な変化の展開
    • ハードとソフト両面での横展開
    • 普及のためのコミュニケーションと学習プランも
 
変革を導くリーダーシップ
  • 現場リーダー、実践と検証
  • ネットワークリーダー、部署間など支援協業関係性構築の媒介役
  • 役員リーダー、組織環境を整え反対勢力に対する守護神
    • 現場リーダー、ネットワークリーダーのコーチン
 
深い学習サイクルと戦略の構造
  • 学習を後押しする経営理念の設定
    • 役員リーダーの役割
  • 学習のための理論、ツール、手法の習得
    • 現場リーダーが身につけメンバーへ
  • 学習インフラにおけるイノベーション
    • 研修、指導、ITシステム、評価の仕組みなど
    • 役員リーダーの庇護のもとでのネットワークリーダーの役割